『基軸通貨』(Key Currency)

通貨,国際決済通貨

 貨幣のうち,現在流通し,使用されているものを流通貨幣,略して通貨 (currency) と言います。
 また,通貨のうち,国際的に使用されているものを国際通貨と言い,とくに,いつでも他国の通貨と交換できると思われていて信用されているものを国際決済通貨(hard currency)と言います。
 国際決済通貨のうち,その通貨を発行した国以外の2国間の取引の決済でも使われるものを基軸通貨といいます。どの通貨が基軸通貨となるかという明確な基準はありませんが,強大な経済力と軍事力 を持つ国の通貨が基軸通貨となり得るので,19世紀後半から20世紀初め頃までは英国のポンドが基軸通貨であり,第2次世界大戦以降は米ドルが基軸通貨であると考えるのがふつうです。日本の円は国際決済通貨の一つであると考えられていますが,基軸通貨ではありません。
 現在米国は,米ドルで物やサービスを輸入し,そのとき使われた米ドルが米国外で流通している間は米国から他国への輸出には使われないため,米国はただ同然の費用で発行した米ドルで多くの物やサービスを手に入れたことになります。このように,基軸通貨を発行している国は大きな経済的利益を得られます。
 基軸通貨であることの明確な基準はなく,「多くの人が基軸通貨であると考える」と多くの人が予想するので,多くの人がその通貨を基軸通貨として使うので,東京大学経済学部の岩井克人教授は「貨幣と同様に基軸通貨も自己循環論法の産物である」と言っています。したがって,米ドルが基軸通貨であると考えない人が増え始めると,米国外で使われていた米ドルが米国から他国への輸出に使われて,米国内の財が国外へ流出し,米国の経済は衰退します。そうならないように,米国はドル高を維持してドルの価値を守ろうとするはずです。
 (ver.3 2021年3月1日改訂)