『貨幣』

(money)

 物やサービスを交換するときに用いられる媒介物を貨幣 (money) と言い,ふつうは,日常的に用いられる「お金」のことを貨幣と言いますが,誰もが価値を認めて物やサービスと交換してくれるものはすべて貨幣であるという考え方もあり,その場合,信用力のある銀行や企業が発行した現金との引換券(小切手や手形)なども貨幣の一種であることになります。
 貨幣は物やサービスの価値を表す基準となるので,商業取引の媒介物となり,また,必要なときに物やサービスを購入するために蓄えることができるので,貨幣には富(財産)としての性質があるという考え方もありますが,しかし,貨幣を発行している国などの信用が損なわれると価値を減じ,場合によっては短期間で紙くず同然になってしまうこともあり得るため,金貨などを除けば,ふつうの財産と同等には扱えません。
 貨幣にはそれ自体紙切れとしての価値しかないが,「多くの人が貨幣として使う」と多くの人が予想するので多くの人が貨幣を使う,という貨幣の性質を,東京大学経済学部の岩井克人教授は「貨幣は自己循環論法の産物である」と言っています。
 このように貨幣は,多くの人が価値を認めているから価値があるので,価値を認めない人が増え始めると,あっという間に価値を失う可能性があります。円高というのは多くの人が円の価値を認めていることを意味しますが,それがいつまで続くかは誰にもわかりません。
 (ver.3 2021年1月10日改訂)