相対する2つのものが応じ合うことを“対応する( correspond ) ” といいますが,これでは言い換えに過ぎません。対応は最も基本的な言葉の一つなので無定義用語であると考えてもよいと思いますが,数学では,
“集合 X , Y があり,ある規則 G によって X の各要素 に対し
Y の部分集合 G ()(空集合でもよい)が定められているとき,
G によって にG (
) を対応させるという。”
と定義されています。集合 G () をこの対応による
の像 (image) といいます。
X ,Y をそれぞれこの対応の始集合 (initial set),終集合 (final set) といいます。
また,G () が空集合ではないような
全体からなる集合 A をこの対応の定義域 (domain) といい,G (
) に含まれることがあるようなY の要素全体からなる集合 B をこの対応の値域 (range) といいます。
たとえば右上の図で表された対応の場合, の像は2つの要素
から成る Y の部分集合 {
} であり,
の像はただ1つの要素
からなる集合 {
} です。定義域 A は始集合の部分集合であり,値域 B が終集合の部分集合であることは言うまでもないと思います。
X から Y への対応において,定義域に属する任意の要素 に対し,それぞれただ1つの
が対応するとき,この対応を1意対応といいます。1意対応は写像とまったく同じ概念ですが,1意対応の場合
に対応するのは1個の要素からなる集合 {
} であるのに対して,写像の場合,像は集合ではなく1個の要素である点が微妙に異なります。
X から Y への対応が1意対応であり,また,この対応の値域に属する任意の要素 に対応する X の要素
がただ1つしかないとき,この対応を1対1対応 (one-to-one-correspondence) といいます。
(2022年1月2日改訂)