『数学』(mathematics)

(D.) Mathematik    
(Fra.) mathématiques 
(Ita.) matematica   

算術,科学,モデル

zukei

 数学の定義は人によって様々です。
 古くは,についての学問を数学と考えていたかもしれませんが,現在,四則など、数についての学問は算術 (arithmetic) というのがふつうです。
 また,数と図形についての学問が数学であると考えている人が少なくないと思いますが,自然数から始まった数が有理数実数複素数と拡大したことだけからも分かるように,数学が対象とする範囲が拡大しているので,数学の研究対象を限定するのは簡単ではありません。
 そこで、この教室では,次のように考えます。まず、なぜ数学を学ぶ必要があるのかという問いに対して,数学がすべての科学(science) の基礎だからであると考えます。そしてこの立場から,ある対象がいくつかの公理を満たすとすると,どのような結論が得られるかを,論理学と数を利用して正確に調べる学問を数学と呼ぶことにします。したがって、数学は数を研究対象とするとは限らず、むしろ、数を利用すると考えることになります。
 この定義に従えば,物理学や経済学などにおいて、取り扱う対象と基本的な仮定とを定めると,それから得られる結論を導くのは数学の仕事であることになります。
 これに対して科学とは,自然現象や社会現象を観察して,どのような仮定をすればよいかを考え,数学を用いて推論し,得られた結論が実際の現象と一致するような理論体系を作る学問であり,このようにして作られた理論体系を研究対象のモデル (model) といいます。
 現実の対象は複雑なのでいろいろな近似を行い,それも仮定に含めますが,その結果得られた結論が実際の現象と大きく異なる場合には、原因を考察し,近似を含む仮定を修正してモデルを作り直す必要があります。
 (2018年5月1日改訂)