『無理数』(irrational number)

(D.) irrationale Zahl, Irrationalzahl
(Fra.) nombre irrationnel     
(Ita.) numero irrazionale      

無理式,無理関数

 として,分数まで学んだ段階では,
     
などの2次方程式存在しません。これでは数学を発展させていくとき不便です。そこでこれらの方程式を満たす新しい数を考え,それらを などで表し,最初はそれらを「無理数」といいました。無理数の存在に気がついたのはピタゴラス学派であり, が有理数ではないことを証明したのはアリストテレスです。
 それに対して,それまでに知られていた,2つの整数比の値で表されるものを 有理数といい,有理数と無理数を合せて実数といいます。
 しかし,円周率πや sin 10° なども有理数でないことが分かるので,どのような無理数があるのかが問題となりますが,高等学校の数学の範囲で正確にそれに答えるのは困難です。現在ではやや直観的ですが,数直線上の座標となりうる数を「実数」と定義し,「有理数でない実数」を無理数と定義するのがふつうです。
 すると,ある実数が無理数であることを証明するには,それが「有理数でない」という否定の形をした命題を証明すればよいので,背理法がよく利用されます。
 なお,教科書によると,根号内に文字を含むを無理式といい, の無理式で表された関数 の無理関数といいます。この定義は分数関数 の定義に倣ったものでしょうが,しかし,無理数の定義に対応したものではなく,累乗根の定義に対応したものです。
 あいまいな無理数の定義のせいとはいえ,上の定義では,たとえば
     
のうち,どれが無理関数と言えるのか迷いませんか。
 (2019年10月3日改訂)