『基数』( cardinal number)
濃度,序数

(D.) Grundzahl, Kardinalzahl
(Fra.) nombre cardinal    
(Ita.) numero cardinale    

 ものの個数を表す数 1, 2, 3, … を基数と言います。数学史的には,たとえば,狩猟を行った2つのグループの成績の優劣を決めるのに,得られた獲物の2つの集合
     {兎,狐,鼠}, {猪,鹿}
の“要素の個数”だけで“集合の大きさ”を定めて,それが大きい方が勝ちと決めたことから基数という概念が生まれたと考えることができますが,高校の数学では,基数は自然数と同じであると考えてよいと思います。空集合の場合の基数は 0 ですが,自然数でも 0 を含める場合があることに注意してください。
 現代数学では,要素の個数が無限に多い集合にも大きさを表す基数を考えて基数の大小で集合の大小を定めます。そのとき定義する“基数”を自然数と区別して濃度 (potency) と呼びますが,高校の数学ではあまり大きな役割を持たない基数が現代数学では新しい役割を与えられたと言えます。
 なお,基数に対して,順番を表す言葉1番目,2番目,3番目 … を序数 (ordinal number) と言います。英語では 1, 2, 3 を one, two, three と言うのに対して,1番目,2番目,3番目を first, second, third と言い,まったく異なる言い方をするので,基数と序数の違いをはっきりと感じますが,4以上の基数に対しては,英語でも(若干の例外はあっても)fourth のように th をつけるだけで序数を表し,さらに日本語では基数に“番目”などをつけるだけで序数を表すので,わざわざ2つの用語を用いて区別する理由が理解しにくいと思います。しかし,基数には 0 (zero) を含める方が自然なのに,序数に 0 th(零番目)を含めるのは特殊な場合に限られるのは,両者が異なる考え方から定められた言葉だからだと思います。
 (2019年7月21日改訂)