『帰納法』(induction)

(D.) induktive Methode, Induktion
(Fra.) méthode inductive, induction
(Ita.) methodo induttivo, induzione

 たとえば,数多くの玉が入っている不透明な袋の中から玉を何個か取り出して色を調べたら,すべて黒い玉だったとすると,このとき,袋の中の玉はすべて黒い玉だろうと推測するのは,調べた玉の個数が大きければ信頼できると考えられますが,しかし,たとえ1つでも調べていない玉があれば,推測が正しいと断言はできません。
 一般に,ある集合 S のいくつかの要素が同じ条件 P を満たすことがわかったとき,Sすべての要素が条件 P を満たすと推定することを帰納的推測 (inductive inference) または帰納法といい,条件 P を満たす要素の個数が大きいときは信頼性も高いので,実社会だけではなく科学においても良く用いられる重要な推測方法ですが,絶対に正しいとは言えません。
 もちろん,集合 S のすべての要素について調べることができれば問題はないのですが,要素の個数が非常に大きいとき,とくに無限に大きいときは,すべての要素について調べることは不可能です。
 そこで,自然数を変数とする命題関数に対して帰納的に導かれた一般的な法則が正しいことを証明するために用いられる方法が数学的帰納法です。
 “帰納”は,ある集合からいくつかの要素を取り出して性質を調べた後,その性質を集合の要素全体が満たすものだと考えて集合に“帰して納める”という意味だと考えられます。
 また,帰納法に対する反対語は演繹法だと考えられます。
 (2019年7月17日改訂)