『等しい』(equal)

(D.) gleich, egal 
(Fra.) même, égal 
(Ita.) stesso, uguale

同じ,異なる

 A,B が等しいことを等式 A = B で表します。 『同じ』(same) もほぼ同じ(!) 意味で用いられます。等しいの否定を意味する反意語は『異なる』 (different))です。
 2つの集合 AB要素の間に1対1の対応が成り立つとき AB の要素の“個数”は等しいと漠然と考えたのが等しいという言葉の出発点だと思います。集合そのものについても,A任意の要素が B の要素で、B の任意の要素が A の要素であるとき集合 AB は等しいと定義できます。しかし,整数実数,あるいは集合の要素などが『等しい』ということの意味を正確に定義するのは難しいので,『等しい』は無定義用語であると考えられます。
 2つの複素数が等しいのは,実部も虚部も等しいときであり,これは複素数平面において2つの複素数が表す位置が等しいことを意味します。
 2つのが等しいことの意味が定められれば,数学では,いろいろなものに対して,A,B が等しいことを正確に定義するのに,A,B を特徴づける大きさなどを表す数を用いて行うのがふつうです。
 2つの関数 が等しいとは,任意の に対して2つの関数のが等しいことを意味します。写像の場合もほぼ同様です。
 図形の場合はやや複雑です。2つの直線が等しいとは2直線が重なることを意味しますが,の場合は,位置が異なっても半径が等しければ2円は等しいということがあります。三角形の場合,「2つの三角形が等しい」という文章は意味が不明確です。なぜならば
    △ABC = △DEF
は2つの三角形 △ABC,△DEF の面積が等しいということを意味する場合があるからです。図形に対しては,等しいという用語の代わりに,位置,形,大きさの何を無視し何に着目するかで合同とか相似という語が用いられます。
  (2019年3月5日改訂)