『原理』(principle)

(D.) Prinzip(プリンツィープ)
(Fra.) principe(プランシップ)
(Ita.) principio(プリンチピオ)

法則 (laws)

zukei

 原理と法則という言葉はどちらも数学定義された用語ではなく,現在の論理学で定義された用語でもありません。昔から哲学などで用いられていたようですが,現在では科学でも用いられます。
 一つの科学を数学的モデルであると考えると,原理と法則は数学の公理または定理に相当します。
 広辞苑には「根本法則を原理という」と書いてあるので,原理が公理に相当し,法則は定理に相当すると考えたい気がします。しかし,
   アルキメデスの原理,パスカルの原理,ルシャトリエの原理,フェルマーの原理,
   ホイヘンスの原理,重ね合わせの原理,光速度不変の原理,不確定性原理
などと
   光の屈折の法則,アボガドロの法則,熱力学の法則,ボイル・シャールの法則,
   ジュールの法則,フックの法則,ファラデーの法則,フレミングの法則,
   オームの法則,ケプラーの法則,ニュートンの運動の法則,運動量保存の法則
などを比べると,上の考え方はある程度理解できますが,正しいとは言えないようです。
 一つの科学が形成される段階では,ある命題が複雑な現象をうまく説明できるかどうかが最も大切であり,そこで用いた命題がほかの命題から導かれるかどうかはあまり重視されないようです。しかし,その科学が完成するに従って,そこで用いた命題が他の原理や法則から導かれるかどうかが問題となり,実際,それらの命題がもっと基礎的な科学においてほかの命題から導かれることがあるので,根本的であるかどうかで原理と法則を区別するのは難しいのではないでしょうか。
  (2020年10月3日改訂)